月あかりでノートを書きながら By Dr.Chelsy #1
「やっぱり結婚するなら家にもう少しいてくれる人がいい」
「バリバリ仕事をこなすかっこいい女性医師でありたい」「結婚して母になりたい」Dr.Chelsyが産婦人科医になり、結婚、出産し3人の子の母になるまでのBeing storyです。*Dr.OBGY noteも好評連載中!
研修医2年目が終わろうとしている3月のある日、
研修医室で仲の良かった同期と将来について話していた。
1人は消化器内科、1人は眼科、そして私は産婦人科に進むことが決まっていた。
眼科に進む1人はこの3月に、結婚式をあげていた。
眼科 『色々悩んだけど、みんなの進んだ道、しっくりくるね』
消化器 『そうだね、はじめからみんなそうと決まってたみたいに』
私 『…』
2人の進路はだいぶ早くに決まっており、私は2人にかなり相談に乗ってもらっていた。
私は将来進む科で相当悩んでいた…。
時は遡り、研修医2年目の秋。
私は「第1期 将来が見えない暗黒期」にいた。
大学生から5年ほど付き合っていた彼に、一緒に過ごした夏休み後に突然ふられたのだ。
『やっぱり結婚するなら家にもうすこしいてくれる人がいい』
他にも理由はたくさんあったようだったけど、それを言われて何も言い返せなかった。
振り返ると、夏休み、私が休みを取れなかったので彼が私の家に来てくれていた。
官舎に住んでいた研修医の私は、年中呼び出され、休日出勤は当たり前だった。
それが日常で、それに対して愚痴ることすらほぼなかった。
当直明けも、シャワーも浴びる事なく、普通に翌日は働く。
朝は誰よりも早く病棟に行き回診を済ませてカルテを書いておく。
それが当時の当たり前の毎日だった。
そして、その夏休みも、彼が来ているから、と同期たちに頼んだ仕事もあったとは思うが、やはり夜中の呼び出し、デート中の頻回の電話は繰り返された。
彼と夏休みに、将来について話していた。
地元に帰ろうと思っていると伝えてくれたけれど、私は行きたくなかった。
そして、何故だか、彼は私の元へ来てくれるはずだと思い込んでいたのだ。
彼と過ごすはずだった最後の日、私の患者が急変し、私はICUでつきっきりになった。
病院にいる間に、何時に帰って来れる?などと何通かメールが来てたけど、見る事もなく、バイバイもできず彼は帰って行った。
そして、それが彼と会った最後になってしまった。
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