またもすがなんかいってる #3 「女のえんま帳①」

またもすがなんかいってる By Dr.Mosu

またもすがなんかいってる #3 「女のえんま帳①」

Dr.Mosuが役に立たないことを不定期にこっそりつぶやいています。

どこかの妻が家族で食べようと楽しみにしていた銘菓を、夫が自分の実家に持って行ってしまったそうな。

当然のことながら妻は憤った。

夫は慌てて同じ菓子をネット注文したが、時遅し、というかお前は既に死んでいる。

妻は自分の怒りと恨みがいかに深いか、その銘菓にいかなる想いを載せていたのか、それを解そうとしない夫に深く失望しているかを瞬く間に長文にしたためた。

夫は一言、「すみません。」

それがまた火に油を注いだか、妻はやり取りをネットに晒してやんや歓声を浴び、鬱憤を晴らした。

いや、わかるわかる。

この状況で100点満点の対応ができる男がいたら、多分その人はサイコパスレベルのメンヘラホイホイである。

ある意味、

「同じものを注文できたのに、これ以上どうすればいいの(困惑)」
「俺の親に食わせたのがそこまで気にくわなかったの?(困惑)」
「たかがお菓子でそこまで言うのは理不尽ではないのか(困惑)」
「あ、わかった来年2つ注文するね(困惑)」

で「開き直るつもりか!」「そういう問題か!」とさらに墓穴を掘るぐらいが、健全な人間の証拠だと思う。また、こういう時の男性は当事者から見ると実に腹立たしいが、よそから見るとぼっとしてて結構可愛い。

それにしてもまぁ、夫の不義理を責める時の手際の鮮やかさは誰のものを見ても見事である。
夫の過去の不義理から、日頃の不出来まで瞬く間に引用し、圧倒的なボリュームで押す。さながら閻魔帳だ。
いや、ことのきっかけはたかだかお菓子でも、ありとあらゆる感情や意味づけで極彩色に彩られており、どちらかというと絵巻物に近いかもしれない。
だからこそ一気に畳みかける時、女は無意識に気持ちよさそうだし、見る側は共感を覚えて「あなや」「をかし」と歓声を上げるのだろう。

結局、バウムクーヘン1個はどんなに意味付けしてもバウムクーヘン1個の価値しかなく(あ、とうとうバウムって言っちゃった)、それ以上の対価を払わせたとしてもせいぜいバウム2個(そんなに要らない)。

せっかくSNSという劇場があるのだから、夫に閻魔帳を開く機会はよそにとっておいた方がいいのでは、なんて、獄卒ワイフは思うのでした。

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